LOGIN戦闘はすぐに終わった。だが周りにはたくさんの負傷者がいたそれに見かねた私は、ヴィゴーレ様に、
「全員に回復魔法をかけてもいいですか?」
と聞いてみた。
「お前、回復魔法もつかえるのか?まあ、別に構わんが。」
耳元で囁くように続けて言う
「あまり、力は露見させない方がいいぞ。これは忠告だ。力の使い方には気を付けた方がいい」
ちょっときつい言い方で言ってきた。けれども、頭をくしゃくしゃに撫でられた
「だがその人を思いやる心は素晴らしい。思いやりすぎて、自分の命を無駄にしないようにな。」
と豪快に笑いながら言っていた。すると、不意に馬車のドアが開かれ、侍女に連れられて、二人の少女が下りてきた。
一人は、私と同じぐらいの身長だろうか、薄い銀色の髪をした、可愛い女の子だった。
もう一人は、私より少し身長が高く、凛とした姿の桃色の髪をした、言うなれば絶世の美少女である。しかも何というか、すごい偉そうな服を着ている。
「テネレッツァ、頭を下げな。王の御前だ。」
「えっ」と思いながらも、ヴィゴーレ様に倣って頭を下げた。
「よいよい、頭を上げてくれ。おぬしらは妾の命の恩人なのだからな。」
「御冗談を。あんな魔物、クロノア様であれば一人で倒せたでしょうに。」
(え、ヴィゴーレ様、この国の王様とお知り合いなの?)
心の中で、そんなことを考えていると横から、
「先ほどは、有難うございました。ヴィゴーレ様がいなければ、どうなっていたことか。」「いえいえ、アリューシア公爵令嬢もご無事で何よりです。」
全く話についていけない私に
「テネレッツァ、こちらはクロノア・ローズ・テンペンシア女王陛下、そしてその隣におられるのがアリューシア・ルーズ・サンタリア公爵令嬢だ。」
開いた口が塞がらないとは、まさにこのことなんてたって王国の最上位貴族と王族が目の前にいるのだから。
さらに、私は貴族階級について何もわからなかった。
「公爵って?」
「公爵ってのは、王族を除く貴族階級の中で一番位が高い貴族のことだ。」
「へ?」
まだ、開いた口が塞がらないでいると、
「クロノア様とアリューシア様は何故このような場所に?」
「私がお忍びで、アリューシアの父の治める領に遊びに行っておったのじゃよ。」
「そして、旅程が終わって王都に戻ろうとしたらあのような事態に。」
クロノア様はともかく、アリューシア公爵令嬢はまだ怖がっているらしく、手が震えていた。無理もない。12歳くらいの少女がいきなりあんな血濡れた戦いを見てしまったのだから。私はそこで、
「あのー、失礼でなければ気分鎮静化リラックスの魔法をかけてもよろしいでしょうか。」
三人の視線が一気にこっちに向いた。やめてください。はずかしいです。
「私は別に構わんと思うが、本人がよい言うものか。」
そう言ってアリューシア公爵令嬢の様子を伺うヴィゴーレ。
「よろしいですけど、変な魔法かけないでくださいね。」
上目遣いでそう言うアリューシア公爵令嬢に
「大丈夫ですよ。では「リラクッス」」
唱えると同時に、アリューシア公爵令嬢の体が光に包まれて、終わったときには手の震えも止まっていた。だけど
「アリューシア様!」
緊張が解けてしまったのか、疲れて眠ってしまった。
「この子は私が馬車で連れて帰るとしよう。」
「では、我々もご一緒いたします。」
王都までの道のりは特に何事もなかったが、なぜか、「馬車に一緒に乗ってくれ」と言われ、ヴィゴーレ様は二つ返事で了承したけれど、私にはとても気まずい時間だった。
「では、私たちはここで。またどこでお会いしましょう。」
「うむ」
クロノア様たちは王城へ私たちはギルドへ向かった。
「おーい、カレラ。依頼の完了手続きを頼む。」
「はいはい、ちゃんとできたの?」
「もちろん、薬草と毒消し草、あと上薬草が何個かあったから、取ってきたぞ。あ、これを受けたのはテネレッツァだから、あいつの名前で頼む。」
なんか知らないけど、依頼の完了手続きが終わってしまった。
「ほら、今日の依頼料だ。」
そう言って渡されたのは、銀貨が一枚と銅貨が三枚だった。
「まあ、初日の成果としては、いいだろ。この調子で明日も頑張ろうな。」
「はい!それではおやすみなさい。」
そう言って家に帰っていくテネレッツァを、後ろから眺めていた。
「明日から、退屈しない毎日になりそうだ。」
微笑みながら、そういった。
「ただいまー」
「おかえりなさい。どうだった?」
「初日から、いろんなことがあった。」
「まあ、食事の時に話を聞くから、手を洗ってきな。」
「はーい」
(そろそろ、頃合いだろうか。)
ヴェリミーアの手には一冊のノートを持っていた。
食事の時、テネレッツァはいろんな話をした。
相方がsssランク冒険者になったとか、女王陛下に会ったとか、とても初日とは思えないような話だった。
(そうか、あいつとも出会ったか。ならもういいだろう。)
「なあ、テネレッツァ。ちょっと大事な話があるんだ。きちんと聞いてくれるかい?」
いつになく真剣な表情の母さんに私も真面目に聞いた。
「私は少し家を出る。その間、お前は一人で過ごすことができるか?」
「えっ、どういうこと?」
「そのままの意味だ。私は旅に出る、というか行かなければならない場所がある。」
「わかりました。母さんがいない間、一人で頑張ります。」
「あんたの相方のヴィゴーレとやらに明日合わせてくれないか?話しておきたいこともあるしな」
そんな話をしながら、テネレッツァと母さんの最後の夜が更けていった。
私達は、獣人族の人たちに見送られながら、獣人族の大地を出発した。「テネレッツァ様、まずどこに行きますか?」「うーん。着く場所にもよるけど、ルミエール教国かな」船はベラリアに行った時と同じで、すごい速度で進んでいく。海上で四日ほど過ごしていると、段々と陸地が見えてきた。「不思議なこともあるもんだね。あそこ、私たちが出発したとこじゃない?」「確かに、そうかもしれませんね」ゆっくりと速度を落とし、岸に船をつけた。「で、ここからどっちに行けばいいんだろ」テネレッツァは、きょろきょろ周りを見渡していた。すると、「ガアア!!」近くの木々から、オーガと思われる魔物と、それを守るようにゴブリンが現れた。「あちゃー。ばれちったか。仕方ない、エル!やるよ!」「承知いたしました」なぜ、ゴブリンがオーガっぽい魔物を守っているのかテネレッツァ達は見当がついていなかったが、とりあえず倒すことにした。「ウィンド 5連」エルの魔法でゴブリンが吹き飛び「プーラ・エルドゥーラ 貫通弾」テネレッツァによってオーガっぽい魔物の腹に風穴が開き、そのまま倒れた。「いやあ、手厚い歓迎だねー」「ある意味そうですけど」試しに周囲を探査してみると、見覚えのある反応があった・「テネレッツァ様、何かありましたか?」てくてく歩いていくと、古ぼけた焚火後があった。「間違いなくここは、私達の出発したばしょですね」エルもこれを見て確信したようだった。再度周囲を見渡すと、あたりが出発した時よりも、荒れ果てているように見えた。「なんか、廃れていない?」「あら、奇遇ですね。私も思いました」エルは風魔法を使い、周囲の草を切り飛ばした。「では、ルミエール教国へ行きましょう」テネレッツァは、半分あきれ顔で
「どうしたのですか?そんなに慌てて」「どうしたもこうしたもないよ!本大陸が、トーラント共和国がバングラス帝国に落とされた!そして、深淵が復活してしまった!」「え?」テネレッツァは、もう何が何だか分からなくなってきていた。(さっきから、情報量が多すぎるよ!)そういえば、今日は朝から、本大陸の方の天気がとても不安定そうだった。まさか、これの前ぶれだったの?「テネレッツァ様、どうかされましたか?」その様子を見かねたのか、エルが心配そうな表情でテネレッツァに聞いてきた。そこで、テネレッツァはティグニスとオーロラ、エルに今日あったことをすべて話すことにした。「そうでしたか。それで、あの時、無意識にあの姿になっていたのですね」エルも納得していたようだった。ただ、あの時、というのをテネレッツァは分かっていなかった。「それよりも気がかりなのはトーラント共和国が落とされたのと、深淵がついに復活したことですね」「一体、どうやってそんなにも早く深淵を復活させたのでしょう」ティグニスは疑問の表情を浮かべていた「本当にそうですね。あれは精霊石がないとこんなにも早く復活させることはできないはずですが」「「あっ」」「どうかいたしました?」テネレッツァとエルはその一言に心当たりがあった。というか、それしか考えられなかった。「あの時、精霊石を投げた相手が魔族だったのですね」「どういたしましょう。今から、本大陸に戻られますか?」「いいえ、明日行われる祈りの儀だけは務めさせていただきます」テネレッツァは意外に思っていた。エルが、自分の意見をここまで主張することはそうそうあることではないから「エルって変わったよね。ほんとに」「私は変わったつもりはないのですが」ご飯を食べ終わった後、エルはそのまま明日の準備をするために、ティグニスと出かけ
「いま、なんと?」「ですから、真実の秘宝を私にください」ティグニスはテネレッツァのいきなりの一言に驚いている。「では、一つだけ、質問してもよろしいでしょうか」「なんでしょう」「なんのために、あれを使うのですか?」ティグニスははっきりと、テネレッツァに言ってきた。その一言を言われたテネレッツァは少し戸惑っている。そして、「私は、私が何なのか。誰の子なのか。それが知りたいだけです」その真剣な眼差しを見た、ティグニスはついに折れた。「分かりました。では、案内いたしましょう」王城の地下。王族でも王しか入ることを許されない場所にテネレッツァは今、踏み入っている。「これが、その「真実の秘宝」です」見せられたのは、手のひらサイズの小さな宝玉だった。テネレッツァが、触れようとした瞬間眩い光が放たれ、テネレッツァは吹き飛ばされた。光が収まったと思ったら、宝玉から一匹の獣が出てきていた。「我は、神獣 麒麟。汝は何がために我の力を欲する」「私は、私について知りたい」「そのために、我の力を欲するというのか」麒麟は、やや呆れているようである。「麒麟様、私からもお願いでございます。どうか、この者の願いを聞き入れてくれないでしょうか」「王の頼みならば、仕方があるまい。だが!この場に残っていいのはテネレッツァ、そなたのみだ。他の者は外で待たれよ」麒麟の命に従い、他の者は出ていき、この場には麒麟と、テネレッツァだけが残っていた。「では、話をしようかの。テネレッツァいやアイリアよ」「一人で大丈夫でしょうか」「麒麟様だから、変なことはしないでしょうが」「やっぱり不安ですね」「二人とも、そんなに心配しなくてもいいでしょう?」二人が振り向くと、そこ
ディアと呼ばれた男は鞭を出してきて、襲い掛かってくる「わ、ちょ、あぶな!」間一髪でかわし、次の一手を考える。(鞭かあ。戦ったことないんだよねぇ)「とりあえず 残花残霊槍 乱桜!」乱れ突きのように相手を攻撃していくが、謎の障壁に阻まれた。「そんな攻撃、我には通用せぬぞ!暗黒魔法 ダークレイ!」どす黒いビームが私に向かって飛んでくる。「プーラ・エルドゥーラ 氷砲 アイス・カヴェア(氷檻)」また、ぎりぎりのところで防ぐことが出来たが、これでは勝てそうにない。「なら!残花残霊槍 一限解放 千鬼乱桜」鬼の如く相手に切りかかっていく。
今、私たちは競技場から少し離れた、精霊専用の店に来ている。試合の時も、休憩の時も、支援魔法を使ってこのちっちゃい耳を強化して、母に関する情報が無いか探していた。その時、少し気になることを聞いた「明日が祈りの儀だよね?それが終わったら少し気になる場所があるから、そこに行きたい」「それなら、明日の儀は完璧にして、王に無理を聞いてもらうしかないですね」何を頼むつもりなのだろう、と思いながら、メイドさんに用意してもらったお昼を口に運ぶ。どれも子供用に作ってあるのか、味も濃すぎず素材の味もしておいしかった。「さてさて、午後の部はっと」貰った紙を眺めようとした瞬間、競技場の方から爆発音が聞こえた。遅れて、爆風がやってくる。「な、なに?」「何か、よからぬ者がやってきたようですね」私の問に険しい顔でエルは答えた。嫌な予感がしたので、急いで競技場へと向かう。「テネレッツァ様、もし接敵してもそのローブと仮面は絶対に外さな
大精霊祭 二日目今日は、各種族の代表が集まって親善試合を行う日。種族の代表なので、負けると一族に泥を塗ることになる。なのでみんな必死に力の強い者を連れてくる。朝、私とエルはご飯を王城で頂いた後、その親善試合を見るために、闘技場を訪れていた。「この場所に来ると、部活対抗魔法武術祭を思い出すね」「あれは、テネレッツァ様にとっては苦い思い出でしょう」「ははっ、確かに」雑談をしながら、待っていると、大きなドラが鳴らされた。「今年も、この日がやってまいりました。種族代表の親善試合です!」観客席から歓声が巻き起こる。「さあ、早速始めましょう!最初は、犬族代表インペルト対猫族代表サイドです!」左から、がっちりとした体つきの大男が入ってきた。手には刃が潰されている大剣を持っていた。対する、猫族は犬族より一回り小さく、武器も鞭である。見た感じでは犬族が勝ちそうだけど、どうなるかは始まってみないと分からない。そんなことを私は考えていたのだけど、エルはもうすでに試







